ぼくはぁ、怪獣の子供なんですぅ
目ぇ覚したら、扇風機は止まっとった。時計の針は、十二時十分。外の陽は未だ照っとる。シャツが汗で張り付いて、気色の悪い。 下へ降り、おかんを呼ぶが返事は無い。 食卓には、黒いもんの入ったグラス。ひやりと、色っぽい水滴。僕はかまわず口をつけた。 ぐびり、ぐびり。と、レイコーに紛れて何か形のあるもんが流れてきたか思うと、そいつは僕の奥歯に挟まった。 ぐにゃり。吐き出すと、なんや糸くずの絡まったみたいなん。 腹の潰れて中身の飛び出た蝉が、ヘビイチゴみたいな目ぇをつやめかせて、こっちを恨めしそうに睨んでやがる。 レイコーのとは別の、野生の苦みが、ゆすいでもゆすいでも、口ん中から消えんかった。
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2011/08/05 ヘンシウ 仕分け:創作<小説> 感想:35 ト ラ ッ ク バ ッ ク: ▲ トラックバックユ・ア・レル